Temu(テム)発がん性物質の危険性。避けるべき商品とは。

TEMU

様々な激安商品を取り扱うことで、世界中で急速に利用者が増えている通販サイト、「Temu(テム)」。

そんなTemuの商品から発がん性物質が検出されたことは、この記事を読んでいるあなたの記憶にも新しいことだろう。
人気急上昇のTemuで購入できる商品の安全性について、深刻な疑問が今生まれている。

本件に関して、韓国関税庁(KCS)の調査結果をもとにお話ししたい。

Temuで発がん性が検出された商品は?

韓国関税庁(KCS)は、子供向け製品252品目の成分分析を実施した。

その結果、約15%にも当たる38品目から有害成分が検出されたことが判明。
また検出された製品は平均価格が約400円と激安かつ、正式な輸入条件を満たさない状態でも購入できる個人輸入扱いの物品だ。

検出された有害成分を以下にまとめる。

フタル酸エステル系可塑剤(DEHP、DBP)

フタル酸エステル系可塑剤は、長期にわたって接触すると内分泌系障害を引き起こす恐れがあり、子供向け製品への使用は本来禁止されている、環境ホルモン物質だ。
このうち、フタル酸ビス(DEHP)は、国際がん研究機関が指定した「人に対する発がん性が疑われる物質(グループ2B)」となっている。

今回有害物質が検出された38品目のうち、27品目からは、基準値を大きく上回るフタル酸エステル系可塑剤が検出された。

また、子供用サンダルやスニーカーなどにつける「シューズ用アクセサリー」16品目中、7品目からは、基準値の最大348倍検出された。

靴につけるアクセサリーであれば、長期間肌に接触する可能性もあることから、これは問題だといえるだろう。

鉛は、安全基準以上の量にさらされると生殖機能に悪影響が出る恐れがあり、発がんリスクも高まる可能性がある。
特に小児は鉛の影響を受けやすいとされる。

今回はアクセサリーなど5品目から、基準値の最大270倍の鉛が検出された。

ただし、厚生労働省が展開している「鉛の毒性に関する知見について」の資料を見てみると、

”ヒト及び動物においては、鉛は吸入あるいは経口摂取により吸収され、ヒトにおける経皮摂取はほとんどない。”
出典:鉛の毒性に関する知見について

とのこと。
用は口に含んで初めてしっかり人体に吸収されるということ、皮膚からの吸収はほぼないとのことだ。

無論、だから許されるわけではないということは言うまでもないが。

カドミウム

カドミウムは、腎機能に障害を及ぼす。

加えて、腎機能障害によって腰や背中、手足の骨や関節の痛みが生じる。
これらの中毒症状が極めて重篤となった症例が学生時代によく耳にした「イタイイタイ病」である。

6品目から検出されたカドミウムだが、6品目の中でも最も高濃度のもので、指輪やブレスレットなどのアクセサリー類があげられるが、なんと基準値の最大3,026倍もの量が検出された。

ただし、これも鉛と同様、厚生労働省が公表している職場の安全サイトによると、経皮での中毒症状は確認できていない。
出典:職場の安全サイト

発がん性物質は洗えば落ちる?

ここまでTemuで販売されている商品から検出された発がん性物質について見てきたが、洗って落ちるなら別にいいやって方もいるかもしれない。

それぞれの物質が洗うことで落とすことができるのかについても言及したい。

フタル酸エステル系可塑剤(DEHP、DBP)

純粋なフタル酸エステルは、透明で粘っこい液体で水に溶けにくく、油に溶けやすい性質を持つ。

そのため、水洗いや洗濯で含有量を減らすことはそもそも期待しにくい。

また、用途としてプラスチックを軟らかくしたり、加工しやすくしたりするために混ぜることが多く、そもそも表面についているというよりは、すでに混ざっていることが多いため、届いた商品を一般家庭で何かできるということは、こちらもあまり期待できない。

こちらは洗濯で落ちる可能性がある。

溶解性鉛というのは耳にしたことがある方も中にはいるかもしれないが、鉛は比較的水に溶けやすい性質を持つ。
これは心配することではないが、鉛は人体に害のない量であるものの、水道水にも含まれている。

環境省の実験によると、以下のように記載がある。

”静置した状態で、鉛弾1gから100-200㎍の鉛が溶けた”
出典:鉛弾の水への溶解性

以上のことから鉛は見た目のわりに水に溶けることがお分かりいただけるだろう。

鉛への対策は、よく洗う、口にしない、この2点になるといえる。

前述のとおりだが、小児は鉛の影響を受けやすいため、子供の手の届く場所に置かないことや、子供が身に着ける、手で触れるもののためには、あまり利用しないことをおすすめしたい。
子供はなんでも口にする。

カドミウム

カドミウムは不溶性、これは洗濯で落とすことは期待しにくい。

こちらも環境省の資料からの抜粋となるが、以下のデータが公開されている

・水溶解度:不溶 、544.2mg/L(計算値)
出典:カドミウムの物質データ

データのとおり、ほんの少しも溶けないわけでは当然ないが、少なくとも完全に除去することは難しいと考えてよいだろう。

大手通販サイトは大丈夫なの?

ここまでTemuで取り扱っている商品について言及してきたが、Amazonや楽天市場は大丈夫なの?と疑問に思う方もいるかもしれない。

確かにAmazonや楽天市場も、Temuと同様に事業者が出品する仕組みである以上、同じ危険性をはらんでいるように思うものの、Amazonや楽天市場ではあまり有害物質検出の話は聞かない。

それぞれの出品に基準やルールが存在するのかについても言及したい。

Temu

出典:Temu

まずは当然、Temuの出品基準も見ていく必要があるだろう。

Temuのホームページを見てみると、禁止製品のリスト自体はあるものの、出品時の審査や、安全基準に対して言及されている文言は見当たらなかった。

禁止製品リストの中に「危険物および不安全な物品」と記載はあるが、結局のところ今回の発がん性物質は別に危険なものから検出されたわけではないことから、出品される商品の成分的な安全性については、特段確認は行っていないものと思われる。

楽天市場

出典:楽天市場

楽天市場では、出店審査を受けるにあたり、以下が必要になる

  • 取扱予定商品の販売にあたって必要な営業許可、資格等の書類
  • 商材の写真
  • 登記簿謄本

その他出典申請書類等も必要になり、日本らしい書類文化であることも相まってか、真っ当な商品で商売をしようという事業者が多いのかもしれない。

また楽天市場でもTemuと同様、取扱禁止商材の定めがあるが、成分的な詳細について言及された記載は見当たらない。

Amazon

出典:Amazon

Amazonでは、出品される商品の安全性を担保するため、出店の審査とは別で、特定カテゴリの商品に書類提出を伴う審査が存在する。

すべて記載していては年が明けてしまうので割愛するが、審査が必要なカテゴリの中には、今回話題にも取り上げた、子供用玩具、乳児・子供用品が含まれる。

例えば、子供用ジュエリーに絞って内容を確認してみると、以下のように書類提出を求める文言の記載がある。

”各国の玩具の安全基準に準拠している安全検査資料。次の書類のいずれか: 食品衛生法(日本)、ST 2016第3版(日本)、ASTM F2923(米国)、CCPSA(カナダ)、EN 71-3(EU)、GB 6675-4(中国)、AS/NZS ISO 8124-3(オーストラリア/ニュージーランド)”
出典:Amazonセラーセントラル

つまり、国の基準に基づいて検査した資料を提出しなければ、そもそも出品が許されないということ。

さすが、天下のAmazonといったところか。

まとめ

本記事ではTemuで販売している商品から検出された発がん性物質について取り上げた。

これは消費者の安全を脅かす重大な問題であるといえるだろう。

特に今回は子供向けの製品から基準値を大きく上回る発がん性物質が検出されたことは、由々しき問題であると言えよう。

しかしながら、Temuはあくまでも商品販売のプラットフォームであり、問題なのは発がん性物質が含まれる商品を販売している事業者であるということを忘れてはならない。

Temuはうまく付き合えば激安で商品が手に入る通販サイト。

我々消費者も、商品選びは一層慎重に行うべきであろう。

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